証券会社のこんな進化
当時、日本人にとってあこがれの未来像は、アメリカ型の豊かな社会であった。
テレビの人気番組はアメリカ版のホームドラマであり、健全なアメリカの中流階級が描かれていた。
そこには芝を美しく敷き詰めた庭に大きなガレージがあり、中には大型車が二台あった。
正面には広い小綺麗な家があり、キッチンには大型冷蔵庫があって、ステーキ肉の塊が入っており、おやつにアイスクリームは食べ放題、水代わりにフルーツジュースやミルクを飲み、口に入らないほど厚いローストビーフサンドイッチをほおばっていた。
広いリビングルームには、心地よさそうな大型のソファーや大型テレビがあるといった生活を映していた。
実はこれも実際のアメリカの中流階級というよりは、アメリカ人自身があこがれていた生活様式であったようである。
いずれにせよ、ほんの数年遅れで、日本でもこのような理想像が盛んに放映され、当時の日本人の頭の中に刷り込まれていった。
そのため、冷蔵庫、洗濯機といった物が売り出されると、たちどころにヒット商品となって需要を刺激し、成長を引っ張った。
これらの商品の価格は、当時の平均的資産や所得に比べて高かったにもかかわらず、ほしいという一念で大きな需要が生まれ、売れれば所得も上がっていったのである。
しばらくすると、クーラー、カラーテレビ、車が登場し、再びあっという間に日本中の家庭に普及した。
当時の日本は何を作れば売れるかが、アメリカモデルによってわかっていたため、作るだけで需要はどんどんついていったのである。
そのため企業収益も高く、設備投資も盛んになって品質もよくなり、ついには世界市場にまで進出していった。
こうして、企業の株価も上がり、経済全体の流動性量も順調に伸びて人は豊かになったと思い、さらなる需要を生み出して所得も倍増していった。
このような状況では、需要不足など考える必要もなかったのである。
以上のことは、将来の魅力的な生活パターンや魅力的な製品を説得的に提示できれば、それらを実現していくことによって、人の購買意欲がそそられ、需要不足が軽減して景気回復につながることを示している。
不況期の新産業政策人が貯蓄志向を強めるなかで、お金よりも魅力的な物を作ることを積極的に押し進める政策として、新たな産業政策が考えられよう。
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